イジワル王子の甘い嘘



「なあ愛斗、頼みがある!」



「なに?」



「お前の幼なじみの“莉奈ちゃん”だっけ?あの子俺に紹介してくんね?」




「莉奈ちゃん可愛いからさー」と笑っている目の前の男を、殴り飛ばしてやりたくなった。




「だーれが、お前みたいなチャラ男に莉奈を渡すかよ」



「え、ダメなの?」



「ダメだ。莉奈は俺の大切な幼なじみだから」




そうだ。

莉奈は俺の大切な幼なじみだから、いくら親友の頼みとはいえ、アイツを渡すわけにはいかない。


俺がキッパリと断ると、親友である隅田直樹(すみだなおき)は派手に染めている金髪を掻きむしりながら苦笑した。




「冗談だから、冗談!!愛斗が莉奈ちゃんを大切にしてることくらい知ってるし!」



「直樹の場合、本気に言ってるようにしか思えねぇんだよ」




俺ははぁ……とため息をつくと、直樹は俺の肩をポンポンと叩いてきた。



< 18 / 65 >

この作品をシェア

pagetop