イジワル王子の甘い嘘
「なあ愛斗、頼みがある!」
「なに?」
「お前の幼なじみの“莉奈ちゃん”だっけ?あの子俺に紹介してくんね?」
「莉奈ちゃん可愛いからさー」と笑っている目の前の男を、殴り飛ばしてやりたくなった。
「だーれが、お前みたいなチャラ男に莉奈を渡すかよ」
「え、ダメなの?」
「ダメだ。莉奈は俺の大切な幼なじみだから」
そうだ。
莉奈は俺の大切な幼なじみだから、いくら親友の頼みとはいえ、アイツを渡すわけにはいかない。
俺がキッパリと断ると、親友である隅田直樹(すみだなおき)は派手に染めている金髪を掻きむしりながら苦笑した。
「冗談だから、冗談!!愛斗が莉奈ちゃんを大切にしてることくらい知ってるし!」
「直樹の場合、本気に言ってるようにしか思えねぇんだよ」
俺ははぁ……とため息をつくと、直樹は俺の肩をポンポンと叩いてきた。