イジワル王子の甘い嘘



「今日のバスケ部の朝練見たー?」



「もちろん見たよ、王子見るために!」



「今日の王子も相変わらずかっこよかったよね!王子の彼女になれないかなー?」



「だめだよ、みんなの王子なんだから!」




ざわつく教室に、女子たちの黄色い声が響き渡る。


私は息をひそめて、読書をするふりをしていた。


だって、彼女たちと目が合ってしまったら、“幼なじみ”である私の悪口が始まるから。



――私の幼なじみ、愛斗くんは1年生にして、バスケ部のエースとして活躍している。


そして、女子に騒がれているのは、それだけじゃない。


愛斗くんは、一般的にいう“イケメン”の部類に入るひと。


整った顔立ちだけじゃなく、優しくて気配りの出来る性格の持ち主。全てが完璧ということで“王子”という呼び名が付いた。


そんな愛斗くんの幼なじみである私は、毎日息をひそめて高校生活を送っている。




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