イジワル王子の甘い嘘
それにしても、俺の幼なじみはすごくモテる。
「さっき廊下で若原さんとすれ違ったんだけどさ、やっぱり可愛いよな」
「あの透明感があって儚げなところがたまんねぇよな!若原さん、彼氏いるのかな?」
「いないって聞いたぞ。お前にもチャンスあるんじゃね?」
「俺、告ってみようかな」
そんな会話を、俺のクラスメイトがしている。
俺は直樹との会話を中断して、クラスメイトの会話に耳を傾けていた。
「お、噂をすれば莉奈ちゃんの話題でもちきりだな」
「……なにかあったらただじゃおかねぇ」
「愛斗くん怖いよー!!」
茶化してくる直樹を無視しつつ、俺はどうやって莉奈を守るか考えていた。
せめて同じクラスだったら、変な男から遠ざけることが出来るのに、莉奈は、俺が“王子”だからって必要以上に近付こうとしない。
まず、この状況をどうにかしないとな。
このことばかりが頭を巡って、授業なんて集中出来るはずがなかった。