イジワル王子の甘い嘘



練習を終えた俺は、キャプテンから春休みの練習や新入生の勧誘についての伝達事項を聞いたあと、更衣室に向かっていた。


早く着替えて、莉奈を迎えに行かないと。

そう心の中で呟いていた時だった。




「あ、あの……話ってなんでしょうか?」




この声、聞いたことがある。

毎日耳にしてる、守らなければいけないヤツの声。




「莉奈ちゃん。急に呼び出しちゃってゴメンね」



「いえ……。大丈夫です……」




莉奈の声と、俺の知らない男の声がどこかかから聞こえてくる。


俺は耳を澄ませて、ふたりの声がどこから聞こえてくるかを探ることにした。




「俺は2年の服部翔平(はっとりしょうへい)っていうんだけど、実は俺、莉奈ちゃんのことずっと前から気になってて」



「……え?」



「だからさ、俺と付き合ってよ」



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