イジワル王子の甘い嘘
服部翔平という名前が聞こえてきた瞬間、全身が固まった。
バスケ部の先輩から聞いたことがある。
……タラシで女好き、女子生徒に嘘の告白をして、自分に気持ちが振り向けば捨てる、最低な2年生だって。
そんな最低男のターゲットが、莉奈ってことかよ。
純粋で無垢な俺の“幼なじみ”を、傷付ける気なのかよ。
そんなの許さねぇ。ふざけるな。
先輩だろうが誰だろうが、俺は莉奈を守るって決めたんだ。
莉奈は、俺のものだ。
絶対に、指一本だって触れさせない。
俺はふたりの声がする空き教室に近付き、
「……莉奈は俺のものなんで、諦めてください。服部先輩」
思いきり、力の限り、教室の扉を開けた。