イジワル王子の甘い嘘
「え?愛斗くん?」
突然の登場に、莉奈は驚いた顔をして俺を見ている。
制服は乱れてないし、触れられた形跡もない。とりあえず何もされてないようで安心した。
だけど、目の前にいる服部先輩だけは俺をキツく睨みつけていた。
せっかく獲物を見つけたのに俺に邪魔されたからか、物凄く機嫌が悪そうだ。
「どうしました?2年生の服部先輩ですよね?」
「ああ、よく俺の名前知ってるな。王子って騒がれてる倉橋愛斗くん」
「服部先輩こそ俺のこと知ってるんですね。とても光栄です」
俺も服部先輩もうわべだけの笑みを浮かべて、お互いを睨みつけている。
莉奈はそんな異様な雰囲気に戸惑っているようで、のそのそと俺に近付いてきて、不安そうに事態を見守っていた。
とりあえず、莉奈を守ることだけを考えなければ。
「莉奈に告白してたみたいですけど、さっきも言った通り俺のものなんで。今回は諦めてください」
俺は傍にいた莉奈の腕を優しく掴んで、服部先輩を威嚇する。