イジワル王子の甘い嘘
私が愛斗くんの幼なじみということは、入学した途端にあっという間に広まってしまった。
きっと、私達の関係を知っている人たちが広めたんだと思う。
そんなことを思い出しながら、思わずはぁ……とため息をついてしまう、と。
「あ、あの子、わざとらしくため息なんてついてる。ウザいよね」
「王子の幼なじみだからって調子乗りすぎ」
「ほんと目障り。早く消えてほしいよね」
……また、始まった。
“愛斗くんの幼なじみ”をあまりよく思っていない、女子たちからの悪口が。
私が彼女たちと目が合ったり、何か気に食わない行為をしたら、すぐに私に対しての悪口が始まる。
今のはきっと、私のため息が聞こえてしまったからだ。
「ほんと、なんであたしは愛斗くんの幼なじみなんだろう……」
私は、こんな高校生活を送りたいわけじゃないのに。
たくさん友達を作って、楽しい毎日を送りたかっただけなのに。
そんな気持ちを込めて、今度は誰にも聞かれないように小さくつぶやいた。