イジワル王子の甘い嘘
とりあえず今日と明日は、この悪口に耐えなきゃ。
きっと噂なんてすぐみんな忘れるだろうし。
愛斗くんだって私とカップル扱いされて迷惑だろうし。
私だけ耐えれば、騒がなければ、みんな幸せになれるから。
だから、
「こんな状況で読書できるなんて若原さんも神経ぶっといねー」
「じゃないと王子のこと誘惑できないでしょ」
「ほんとそれー!マジで存在が迷惑だよね!学年上がったら同じクラスにもうなりたくないなー」
どんなに心がズタズタになっても、私は我慢するの。
これが愛斗くんの“幼なじみ”である私にとっての、唯一許される行為なのだから。
今度こそちゃんと言わなきゃ。
「幼なじみだからって、もう私に関わらないで」って、愛斗くんに。