イジワル王子の甘い嘘
そのことに気付いた私が隣に立っている幼なじみのことをじーっと見ていると、視線を感じた愛斗くんが店内の壁掛け時計を指差した。
「莉奈、今が何時か分かってた?」
「え、もうこんな時間?」
時計の針は、私が書店に入って2時間以上も経過した時間を指していた。
私ったら、どれだけ本を探すのに夢中だったんだろう。
しかもその姿を、愛斗くんに見られるなんて。
少し恥ずかしくなりながら、私は愛斗くんにチラリと視線を向ける。
「部活が終わって気になる雑誌があったから寄ったら、まさか莉奈もいるなんてな。さすが幼なじみ」
「そ、そうだね」
家が隣どおしの私たちは、最寄りの書店も一緒なわけで。
必然的に寄る場所が被ることになる。
これも私たちが幼なじみ、だから。