イジワル王子の甘い嘘
学校を出たときは明るかった外は、いつの間にか暗くなっていた。
少し外を見れば時間が経ったことくらい分かるのに、どれだけ私は時間を忘れて本巡りをしていたんだろう。
ところどころ街灯がある道を、ふたり並んで歩く。
「あさってから春休みだな。莉奈は何か予定あんの?」
「……特にないよ。愛斗くんはずっと部活?」
「その予定。新入生が入ってきてレギュラー奪われたくないし」
そんな普通の会話を繰り広げながらの帰り道は、私の心を落ち着かせるとともに、不思議な感覚を覚えてしまう。
普段、学校では避けまくっている愛斗くんと一緒に帰っているこの状況に、私は少しだけ違和感を感じていた。
それはきっと、愛斗くんが私にいつもどおりに接してくれるから。
「2年生に進級したら、同じクラスになれるといいな」
「え……?」
その言葉に、ドキンと心臓が鳴った。