イジワル王子の甘い嘘
「莉奈と同じクラスだったら、ノート取り忘れても見せてくれそうだし」
「って、私は便利屋ってこと?」
「ま、そんなもんだよな」
「ちょっと!愛斗くんひどいよ!」
私が怒ってみせると、愛斗くんはおかしそうにクスクスと笑う。
ふたりの間に流れる空気は、すごく自然なもの。
愛斗くんが学校の王子様なんかじゃなかったら、学校でもこうして自然体でいられたのかな。
……って、いまさら何を考えても遅いのだけれど。
「春休み、俺の部活がない日に遊ぼうな」
「え?」
「しょうがないだろ。莉奈は俺の幼なじみとして、一緒にいる運命なんだから」
私を困らせようとイジワルそうに笑う愛斗くんに、私は不覚にも胸をときめかせてしまった。