イジワル王子の甘い嘘
だって、いきなり「一緒にいる運命」とか言い出すんだもん……。
それは幼なじみとしてという意味だったけど、学校の王子様は言葉選びも一流なんだな、とひとりで納得する。
教室では、もう関わらないでほしいってさんざん思っていたのに、こうやってふたりきりで話すとその意志が薄れてしまう。
私はきっと、愛斗くんに流されやすい。
愛斗くんに振り回されてもやもやした気持ちを抱えたまま歩いていると、あっという間に私の家と愛斗くんの家の前に到着した。
「じゃ、また明日な」
お隣さんだから、家に入るタイミングも一緒な私たち。
愛斗くんが家のドアを開けようとするタイミングで、私も声を掛ける。
「今日はありがとう、また明日ね」
その言葉にクスッと笑った愛斗くんは、私に視線を向けたまま家の中へと入っていった。
その瞬間、私は愛斗くんに伝え忘れていたことがあることに気付く。
「……そういえば、私と愛斗くんが付き合ってるって噂になってること、言い忘れてた。明日伝えて、守ってくれてありがとうって言わなきゃ」
絶対に忘れないように頭の中で念じながら、私も家の中に入った。