イジワル王子の甘い嘘
「莉奈は?」
「若原さん?あれ、そういえば今日まだ来てないね?」
「風邪かなんかじゃないの?」
俺が莉奈の所在を尋ねると、女子生徒3人組は思い思いに答えていく。
あいつが風邪なんて、珍しい。
あとで連絡しとくか、と思いながら俺は莉奈のクラスを後にして自分のクラスに向かった。
教室に入ると、直樹がスマホをいじっている姿が目に入り、俺は無意識に直樹の元へと近づいていた。
「おはよ」
「お、愛斗!今日も朝練大変だなあ」
「好きでやってることだから、全然苦痛じゃないけどな」
俺は、何も考えずに夢中でボールを追いかけることが出来るバスケが好きだ。
だから別に朝練のために早く起きたりだとか、休日も部活のために学校に行くことは苦ではなかった。
むしろ、ボールを触っていない日はなんだか調子がよくないと思うほどだ。
「俺も2年生になったら部活入ろうかなー」
「飽き性だから絶対に続かないと思う。やめたほうがいい」
「うわっ。相変わらず愛斗は冷たいなー。俺にも莉奈ちゃんみたいに優しくしてくれよ」