イジワル王子の甘い嘘



女子たちの騒ぐ声が、どんどんヒートアップしてくる。


きっと、愛斗くんがこっちに近付いてきてるんだ。


どうか、愛斗くんが私を気にすることなく通り過ぎてくれますように……!!


そう必死に願っていたけど。




「あ、ここ莉奈ちゃんのクラスじゃん」




いつも愛斗くんと一緒にいる男の子に見つかってしまった。


……なんで愛斗くんじゃなくて、名前も分からないような愛斗くんの友達に見つかっちゃうの!?


ドキドキしながら、私は必死に文庫本に集中する。


愛斗くんの友達が私のクラスの前で足を止めたことで、必然的に愛斗くんも足を止めることに。




「王子!かっこいい!」



「今度あたし達と遊ぼうよ!」




女子たちのアピールが激しくなっていく。


私はただ目をつむり、騒ぎがおさまるのを待っていた。



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