イジワル王子の甘い嘘
「ふざけんなよ」
「……お、王子」
「莉奈に謝れよ。で、俺と莉奈の前に、二度と姿を現すな」
煮えたぎる怒りを抑えつつ、女子生徒3人組に謝罪をするように求めた。
本当はそんなことじゃ納得しないけど、莉奈の姿を見たら、一刻も早くこの状況から抜け出したかった。
「わ、悪かった……」
謝った女子生徒3人組のリーダー格は少し納得してなさそうな顔で呟いた。
残りの2人は罰が悪そうに俺たちから視線を外して、床をずっと見ている。
「ちなみに、また俺に隠れて莉奈をこんな目に遭わせたら、マジで容赦しないから。それだけは覚えておいて」
俺はそれだけ口にすると、ずっとドアのそばに立っていた直樹に視線を向ける。俺の言いたいことが分かったのか、「はいはいみなさーん」と声をあげた。
「そこの3人さん、そろそろここから出ようか。終業式始まっちゃうよ」
ニッコリと笑って教室を出るように促している。あの3人のことは直樹に任せておこう。
――誰もいなくなった空き教室。
自分の心臓の音がうるさく響いている。ちゃんと自覚した状態でのふたりきりは、かなり新鮮で少しの戸惑いがあった。
自分の感情を悟られないように、莉奈に向かい合う。
そんなあいつは目の前に俺がいることが信じられない様子で、目を大きく開いていた。
「なんで俺からの連絡無視したんだよ」
「ごめん。無視してたというか……スマホの存在忘れてて」
「は?」
予想外の言葉に、思わず感情が口に出た。