イジワル王子の甘い嘘



「莉奈!こっちこっち!」



「結衣ちゃん、久しぶり!」




待ち合わせ場所は、通っていた中学校の近くに新しくできたカフェだった。


おしゃれだけど、高校生の私たちでも気軽に来れる価格設定で、いつかは行ってみたいなと密かに思っていた場所。


カフェの扉を開けると、先に座っていた結衣ちゃんが私を手招きしている。


結衣ちゃんの姿を見て思わす頬が緩んだ私は、浮かれた気持ちを隠すようにテーブルへと向かった。




「遅れてごめん!」



「大丈夫だよ、私だってさっき来たところだから」




私は結衣ちゃんの目の前に座ると、ふたりでメニュー表を見る。




「噂になってた通り、全部おいしそうで迷うね」



「私はオムライスにするね」



「え?結衣ちゃんもう決めちゃったの?じゃあ私は……ハンバーグにしよっと」




注文が決まり店員さんに頼んだところで、私は結衣ちゃんの変化に気が付いた。




「なんか結衣ちゃん、雰囲気変わったね。なんだか、大人っぽくなったっていうか……」




久々の結衣ちゃんはミディアムヘアに毛先を少しだけ巻いていて、大人っぽくなっていた。


それに雰囲気が少し柔らかくなっていて、久しぶりに会った私でさえ違和感を覚えてしまうほど。




「それがね、彼氏できたの」



「え!?本当に?」




突然の言葉に「おめでとう」と声を掛けると、結衣ちゃんは少し恥ずかしそうに笑っていた。

違和感を感じていたのは、このことだったんだ。


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