イジワル王子の甘い嘘
「……見た?王子に帰り誘われたときのイヤーな顔」
「もちろんばっちり見た。あんな顔しときながら、きっと心の中では嬉しがってるに決まってる」
「あたしたちのことバカにしたいの?ケンカ売ってんの?」
ケンカなんて売った覚えもないし、まず第一、私は愛斗くんに帰りを誘われても嬉しくもなんともない。
……放っておいてほしいくらいなのに。
きっとこの学校にいる以上、私には楽しい学校生活なんて待ってないんだ。
進路選択、間違えたかも。
いまだに悪口を言っている女子たちと視線を合わせないように、私は文庫本を持って読書を再開させたけど、
自分の悪口が聞こえるのに気にせず読書できるほど、私の心は強くない。
まだ1年生の終わりなのに、今の私の心には、早く卒業したいという言葉しか浮かばなかった。
「こんな思いするんなら、愛斗くんと幼なじみになるんじゃなかった……」