もう一度、あなたと…
Act.11 復帰してみたら…
「復帰おめでとー!」
ポンッ!とクラッカーが鳴った。
部署のドアを開けると、満面の笑みで舞が迎えてくれた。
「……ありがと…」
紙吹雪を受けて応えた。
紙テープの束を髪から外しながら、上座の方を見ると…。
「…あれ?太一は?」
知らない人が課長のデスクに座ってる。
意外そうな顔をして、舞が私に聞き返した。
「何も聞いてないの⁉︎ 」
「…何を?」
目をパチパチさせる。
自分が言ってもいいのかな…と舞が呟いた。
「太一に何かあったの⁉︎ 」
不安になって尋ねた。
困った顔をした舞が、意を決したように話しだした。
「杉野君ね…転勤したんだよ。四国支社に…」
「…うそ!いつ⁉︎ 」
「今週の月曜。公示は早くからされてたんだけど、エリカが退院するまで待って欲しいって、頼んでたみたい…」
ーー先週末、最後の晩餐をした。
10年間あったことを振り返りながら、笑って話したばかりだった。
『また会社でね!』
そう言って手を振った。
『またな!』
ぶっきら棒な横顔を見せて、太一は帰って行ったのにーーー。
(そんな…あれが最後になるなんて……)
「エリカ…」
舞が心配そうな顔してる。
私がショックを受けると分かってたから、言いたくなくて悩んでたんだ…。
「大丈夫…ちょっと驚いただけ。…新しい課長の所に、挨拶に行ってくるね…」
デスクに向かいながら、胸が騒つく。
今まで当たり前にいた人がいなくなるということが、こんなに不安なものだとは思わなかった…。
「…長い間、休んですみませんでした。今日からまた、よろしくお願いします…」
名前も知らない人に頭を下げた。
本来なら太一に頭を下げて、その後、一緒に笑い合える筈だったのに…。
「気をつけて。今日は初日だから、無理しなくていいよ」
優しい言葉遣いをする人だった。
太一とは違って、皆に恐れられてはいないみたいだった…。
「…どうして黙って行くかなー」
復帰祝いの席で、私は相当酔ってた。
骨折が完治するまで、お酒は厳禁とされていたからだ。
「太一の奴…どうすんのよ…!実家の仏壇の世話ぁ…!」
妻じゃないんだから、気にする必要もないのに気になった。
だからと言って、電話をしてまで聞こうとは思わなかった。
「一言理ってから行けって言うのよ!相変わらず言葉足らずなんだからっ!!」
私達、夫婦だったのに…とボヤく。
相手しきれずに、舞が困ってる。
自分でも、こんなに悪酔いするとは思ってなかった。
ポンッ!とクラッカーが鳴った。
部署のドアを開けると、満面の笑みで舞が迎えてくれた。
「……ありがと…」
紙吹雪を受けて応えた。
紙テープの束を髪から外しながら、上座の方を見ると…。
「…あれ?太一は?」
知らない人が課長のデスクに座ってる。
意外そうな顔をして、舞が私に聞き返した。
「何も聞いてないの⁉︎ 」
「…何を?」
目をパチパチさせる。
自分が言ってもいいのかな…と舞が呟いた。
「太一に何かあったの⁉︎ 」
不安になって尋ねた。
困った顔をした舞が、意を決したように話しだした。
「杉野君ね…転勤したんだよ。四国支社に…」
「…うそ!いつ⁉︎ 」
「今週の月曜。公示は早くからされてたんだけど、エリカが退院するまで待って欲しいって、頼んでたみたい…」
ーー先週末、最後の晩餐をした。
10年間あったことを振り返りながら、笑って話したばかりだった。
『また会社でね!』
そう言って手を振った。
『またな!』
ぶっきら棒な横顔を見せて、太一は帰って行ったのにーーー。
(そんな…あれが最後になるなんて……)
「エリカ…」
舞が心配そうな顔してる。
私がショックを受けると分かってたから、言いたくなくて悩んでたんだ…。
「大丈夫…ちょっと驚いただけ。…新しい課長の所に、挨拶に行ってくるね…」
デスクに向かいながら、胸が騒つく。
今まで当たり前にいた人がいなくなるということが、こんなに不安なものだとは思わなかった…。
「…長い間、休んですみませんでした。今日からまた、よろしくお願いします…」
名前も知らない人に頭を下げた。
本来なら太一に頭を下げて、その後、一緒に笑い合える筈だったのに…。
「気をつけて。今日は初日だから、無理しなくていいよ」
優しい言葉遣いをする人だった。
太一とは違って、皆に恐れられてはいないみたいだった…。
「…どうして黙って行くかなー」
復帰祝いの席で、私は相当酔ってた。
骨折が完治するまで、お酒は厳禁とされていたからだ。
「太一の奴…どうすんのよ…!実家の仏壇の世話ぁ…!」
妻じゃないんだから、気にする必要もないのに気になった。
だからと言って、電話をしてまで聞こうとは思わなかった。
「一言理ってから行けって言うのよ!相変わらず言葉足らずなんだからっ!!」
私達、夫婦だったのに…とボヤく。
相手しきれずに、舞が困ってる。
自分でも、こんなに悪酔いするとは思ってなかった。