俺様社長と秘密の契約
…支度が出来た私たちは、某ホテルへと向かう。
その車内は、シーンと静まり返っていた。

「…理子」
「…なんですか?」

窓の外に目を向けたまま、返事をした。

「オレの方を見てよ」
「・・・」

向く事もせず、窓の外を向いていたが、龍介の視線が痛くて、ゆっくりと龍介の方を見た。

…あの時と、また同じ。切なげな瞳。
その瞳に吸い寄せられてしまうのは、なぜだろうか?

自分でもわからなかった。

「理子」
「・・・」

「オレの顔を見るのもいや?」
「?!」

その言葉と同時に、優しく手を握りしめた龍介。
私は言葉がでなくて、ただただその手を見つめていた。

「…オレは、本気で、理子の事が好きだよ」
「・・・」

「理子は、オレの気持ちが本気だとは思っていないんだろうな」
そう言ってフッと困ったような笑みを浮かべた龍介。


「・・・なぜ」
「・・・なに?」


「なぜ、本気で私を好きなら、・・・男どもに、私を襲わせたの?」
「?!」

私の言葉に、目を見開く龍介。
…まさか、自分がしでかした事だと、私が知ってるなんて思ってもみなかったんだろう。

「好きな女を…汚れものにするなんて、最低よ・・・」
そう言って、涙が溢れ出した。
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