俺様社長と秘密の契約
説明を聞いた会場内は騒然とした。
…当たり前か。あの、神宮寺善一郎に、孫がいたんだ。

マスコミ関係者もいた為、沢山のフラッシュが、前に出た理子を包み込んだ。

そのカメラにも、理子は全く動じる事なく、凛々しい姿で、立っていた。

…流石、と言うべきか。
善一郎の血を引くだけの事はある。

そんな彼女を、この手に入れる事は、容易ではない。

自分の器で、彼女を包み込む事が果たして、出来るのだろうか?

…オレなんかじゃなく、兄貴の方が。

「…ったく、何考えてるんだオレは」
自分の考えに、呆れかえる。

…間も無くしてオレの元に帰ってきた理子。好奇の眼差しにさらされながらも、相変わらず凛としていた。

そんな理子を守るように、オレは、理子の傍を片時も離れなかった。

「…龍介さん、少し外の風にあたってきます。…酔い醒ましに」

そう言ってニコリと微笑んだ理子は、会場を出た。

オレは、それを追いかける事なく、出て行く理子を見つめていた。
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