俺様社長と秘密の契約
動揺したまま席に戻った理子。当然、創もそれに気づいた。

「…どうしたんですか?」
「…」

「…理子さん」
「…な、なんでもありません。…ごめんなさい。気分がすぐれないので、今夜はもう帰ってもいいですか?」

「…わかりました。お送りしましょう」

明らかに動揺している理子を連れ、創は、理子のウィークリーマンションに車を走らせた。

…。

それから更に1週間後。

理子は、創の会社にいた。秘書なんてまだ出来そうにない。だが、ずっとマンションに籠っているわけにもいかない。

創の勧めで、社長の雑務を少しばかり手伝いをすることに。

簡単な書類整理。龍吾の言葉が気にならないわけがない。
家に帰った理子が、首筋に付けられた龍吾の印を見つけてから、何度もそれに触れた。

1週間も経てば、印が消えてきても仕方がない。

自分から手放した相手に、何を期待してるのか。全ては自分が悪いのに。

「…理子さん、コーヒーを2つお願いしてもいいですか?」

秘書に頼まれて、給湯室で、コーヒーを淹れると、社長室に運んだ。

社長室の前、中の声が漏れてきた。

創の声と、…龍吾の声だった。

「…理子さんとはどうしたんですか?最近二人でいるのをお見かけしませんが」

わかってるくせに、そんなことを言う創。

「…私達は離婚したので、もう、なんの関係もないですから」


龍吾の思いがけない言葉に、理子は、コーヒーを落としそうになった。
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