俺様社長と秘密の契約
…理子は、龍吾が帰るまで、社長室に近づくことも、秘書室にすら居られず、使われていない会議室にいた。

…それからしばらくして、会議室のドアが開いた。

理子は肩をビクッとさせ、振り返ると、そこには創がいた。

「…こんなところにいたんですね。探しましたよ」
「…すみません」

理子は困惑気味に謝罪した。

「…これを」
「…」

理子の目の前まで来た創は、封筒を差し出した。それがなんなのか、理子には検討もつかない。

受けとることも出来ず、創を見上げた。

「…今度、うちの会社の創立記念パーティーがあります。理子さんにも、出席してもらいます」

「…どうしても、出なければ行けませんか?」

「…その日に、これをお返しします」

そう言って、一枚の株主の書類を見せた。

「…今はこれしかありませんが、残りはその日に」

「…龍吾さんや会社には、手を出さないんですね?」

「…勿論です。理子さんは、私との約束を守ってくださっているので」

そう言って、微笑んだ創の表情に、嘘はなさそうだった。

「…わかりました。出席します」

理子の答に、創は少しばかりホッとした。

…創には、もうひとつ企んでいることがあった。これを返す、もうひとつの条件は、その日にはなそうと決めていた。

卑怯だと言われてもいいと思った。理子のすべてが手にはいるなら。
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