俺様社長と秘密の契約
「…龍吾さん。嫌ですか?」

「…ばか!そんなわけないだろ!?」

そう言った龍吾は、理子をまた抱き締めた。

「…ありがとう、理子。嬉しいよ。男なのか女なのか?」

それはそれは嬉しそうな顔で問いかける龍吾を見て、泣き笑いしながら、答える。

「…まだまだわかりませんよ」

「…そうか、そうだよな…そうだ。これは、俺と理子の二人の秘密にしよう」

「…え?」

「…やっと落ち着いたとはいえ、理子やお腹の赤とゃんに何かあってからでは遅い。元気に生まれるまで」

「…十月十日ずっとですか?」

驚きながら、理子が言う。

「…これだけは譲らない。外出するときは、俺か、真中が必ず付き添うから」

…龍吾の宣言通り、理子の側を、必ず龍吾か、真中がいた。

なんの事件も起きないまま、臨月を迎え、元気な男の子を産んだ。

…ところで、あの謎の手紙は誰からだったのか?

その答えは、二人をいつも一番近くで見守っていた真中だった。

少しばかりのイタズラ心と、何も言わないでいようとする理子を心配してのことだった。
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