俺様社長と秘密の契約
中を見る勇気もなくて、私は行きかう車を見ていた。

「何してる、サッサと中に入ってこい」

「・・・ぇ、でも」

「めんどくさい奴だな」


渋る私を強引に中に入れた御堂社長は、私が見ていたネックレスを手に取ると、

私の首にそれを何のためらいもなくかけた。


「しゃ、社長、こんな物、買っていただかなくても」

困惑する私を見て、店員が微笑んだ。


「…旦那様のプレゼントなのですから、受け取って差し上げて下さい。

よくお似合いですよ」


「?!・・・いえ、ちがっ」

店員は何を勘違いしたのか、私たちが夫婦だと思ったらしい。


「ケースだけこちらに入れておきましたので…

本日はありがとうございました、またお越しください」


「…あの、社長、お金」

ボソッと呟いてみたが、御堂社長はそれに応える事もなく、

私にケースの入った袋を差し出すと、サッサと外に出てしまった。


唖然とする私を見て、店員が小さな声で呟いた。

「きっと、恥ずかしいんですよ、ぁ、早く行かないと、行ってしまいますよ」

「エ?!…ぁ。すみません」

私に目を向ける事もせずに、御堂社長は行ってしまっている。

店員に一礼すると、急いで御堂社長を追いかけた。
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