俺様社長と秘密の契約
「貴女が御堂社長を見ている瞳は、麗美と全く同じだ」

「・・・・」


「悪い事は言いません、さっきも聞いたと思いますが、
御堂社長には想う人がいる、諦めた方が賢明だ・・・それでは」

「・・・・」

伊織に言われた一言が、私をどん底に落とした。
それと同時に、自分でも知らなかった気持ちを知ってしまった。


…幾度も体を重ねた私たち。・・・そこに感情など存在しないと思っていた。

御堂社長に抱かれる度に、自分の心はいつの間にか、
御堂社長に魅かれていた。

…しかし、この想いを知ったところで、私にはどうする事も出来ない。

…最初から分かっていた事だった。
御堂社長には婚約者がいた、婚約破棄したところで、彼には他に、
想いを寄せる女性がいた。

…第一、私と御堂社長では身分が違い過ぎる。
似つかわしい相手ではない。

そう思ったら、急に涙が溢れ出した。
…苦しい思いをするくらいなら、この想いに蓋をしなければ。

・・・・・・。

しばらくしてようやく落ち着いた私は、社長室に戻った。

「…どうした、今まで何をしてた」

「…すみません、突然、呼び出しがありまして」

…当たり障りのないウソをつく。

「…泣いてたのか?」

「・・・?!」

…化粧はちゃんと直してたつもりだった。
…それなのに、御堂社長に、ばれてしまった。
< 23 / 155 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop