俺様社長と秘密の契約
一度しか話しをした事がなかったが、一気に緊張がほぐれた。
なぜなら、伊織が楽しい話をたくさんしてくれたからだ。

…この人と一緒にいると、とても安らげるような気がした。

「…しかし、大胆なドレスですね」

伊織は私を上から下まで見ると、ポツリと呟いた。


「…私もそう思います、こんなに際どいドレスなんて、
私には似合いません」

そう言って困ったように笑う。


「いや、別に、そう言う意味で言ったんじゃありません。
とてもお似合いですよ」

「・・・ありがとうございます」

「…ですが、このようなドレスは、好きな人の前でだけでいいかと」

「・・・・」

「御堂社長を、誘惑しているんですか?」

「ま、まさか、そんな・・・」

不本意でこのドレスを着る事になっただけで、決して御堂社長を
誘惑しようなんてこれっぽっちも思ってはいない。


「…私は十分、誘惑されましたが」
「・・・ぇ」

伊織の言葉に、目を見開いた。

「御堂社長に貴女のような人は不釣り合いだ。
…貴女を泣かせる事も、苦しめる事もない。
・・・御堂社長以外の人に、目を向けてみませんか?」

「それは、一体・・・」




「…お取込み中、失礼します」

私達の会話に割って入ってきた。
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