俺様社長と秘密の契約
「…うちの秘書のお相手していただき、ありがとうございます」

そう言ったかと思えば、私の腰に腕を回し、サッと自分の方に引き寄せた…御堂社長。

「御堂社長、こんなに綺麗な女性を1人にしていては可哀想ですよ。へたしたら、誰かに連れて行かれてしまう」

そう言ったのは、伊織。
…2人の異様な空気に、言う言葉が見つからない。

「…高瀬専務もそのお一人、ですか?」

「…そうだとしたら?」

…今にも喧嘩が始まってしまいそうな勢いに息を呑む。

「…これは、私のモノですから」

「⁈彼女はモノじゃない」

御堂社長の言葉に、いつもの優しいかおが、伊織の顔から消えた。

「…高瀬専務、落ち着いて下さい。
…私は、大丈夫ですから」

なんとか出た、私の言葉に、伊織はハッとする。

「清水さん…」

「帰るぞ…理子」
「社…」

御堂社長は、私を奪い去るように、会場を出た。

「社長、パーティーはいいんですか?」
私の問いかけに、御堂社長は答えない。

「…社長、…怒っているんですか?」
その言葉に、一瞬眉を潜めた御堂社長だったが、すぐに何時もの顔になり、私を車に乗せた。

「…社長、どこに行くんですか?」

「…黙れ」

「…」

…。
着いたところは、見知らぬ高級マンション。御堂社長は相変わらず黙ったまま、私を中へ連れていく。

…ここは、御堂社長の住むマンションのようだ。

最上階につき、奥にあるドアを開けて、どんどん奥に進んで行く。

そこはリビング。大きな窓から、街の夜景が見渡せる。

…ドサ。
御堂社長は、私をソファに押し倒した。
私は驚きの眼差しで御堂社長を見る。

「…あの男に、色目を使ったのか?」
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