俺様社長と秘密の契約
「砂糖と、ミルクは?」

「…タップリお願いします」

言われて通りのコーヒーを淹れた俺は、少しばかり味見をする。

「…甘」

思わず眉間にしわを寄せた。
そしてすぐに、理子の所に持って行くと、カップを差し出す。

「ありがとうございます」

「…良くそんな甘いコーヒー飲めるな」

「そうですか?…私、甘党なんです。ブラックなんて飲めません、苦くて」

・・・その言葉に、意地悪心が働いてしまった。
一口コーヒーを口にした俺は、理子の口に、それを流しこむ。


…思っていた通りの反応をした。
理子は顔を歪ませ、ゴクリと音を立ててそれを飲みこむ。

「…苦・・・。社長、人の話聞いてましたか?」

そう言うなり、すぐに自分のコーヒーを口にしている。


「…甘党なんだろ?・・・ブラックは飲めないとか」

「…社長って意地悪な子供みたいですよ」

「…あながち、間違いじゃない」

「・・・」

思ってもいない返事だったのか。理子は目を丸くした。


「…社長は一体どういう人、なんですか?
私にはさっぱり分かりません」


「…俺も、自分が分からなくて、困ってる所だ」

「・・・・」

…ただ一言言えるとすれば、好きな子ほど、苛めたくなる。ということくらいか。
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