俺様社長と秘密の契約
…飛び出したはいいが、行ける所は限られていた。屋上のドアを開けて、風が吹き込んできて、我に返った。

…今は仕事中。飛び出すなんて言語道断だ。社長秘書と言う大事な仕事をしてるのに、私情を挟むなんて、ダメダメだ。

でも、今しばらくは秘書室に帰る気になれなかった。

…ガチャ。

こんな時間に、屋上に誰かが来た。
私は振り返ることもせず、広がるビルたちを見つめていた。

「…理子」
「…」

声を聞いただけで、誰だかわかる。でも、その声に、返事をしなかった。

「…大事な事を、一つだけ言っておく。さっき言った事に、嘘偽りはない。俺の想いは、理子に出会ったその日から、ずっとそこにある。揺るぎない想いが…

だが、お前が俺を受け入れない限り、金輪際触れない。あの契約も今日で終わりだ。

…仕事中だ。持ち場に戻れ」

言いたい事だけ言って、社長はいなくなった。
…、社長は、私の事を想ってる?
…、社長は、私のことを好きでいてくれるの?
…、想いは同じなの?

…、私が社長に好きだと、愛してると言ってもいいの?
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