俺様社長と秘密の契約
「…龍吾、なぜ理子をここに連れて来た?」

そう言って俺を見た善一郎。

「理子は貴方の大事な孫です。貴方に一目お目にかけたかったのです」

「…私がもう直ぐ死ぬからか?」
「…ご存じだったんですか?」

俺の言葉に、善一郎は笑った。

「当たり前だ、自分に残された時間くらい、自分でわかるわ」

「…重い病気なんですか?」
今まで黙っていた理子が口を開いた。

「…もうどんな医者にも治せないらしい。…これも天罰だろう。娘に優しく出来なかった私への…
もう用は済んだだろう、帰りなさい、具合が良くないから、休ませてもらうよ」

そう言って逃げようとする善一郎。

「逃げるんですか?…大事な孫からも」
「…」

俺の言葉に善一郎は止まった。

「…母の話しを聞いてもいいですか?どんな人だったんですか?わたし、母の事はなに一つ知らないんです。笑顔が素敵な優しい人だったと、父から聞いただけなので」

そう言って、理子は俯いた。

…そんな理子の下へ再び近づいて、ソファに促した善一郎は真理の事を話し始めた。それはそれは、優しい表情をして、話す善一郎を見て、理子は善一郎を見る目を変えていった。
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