俺様社長と秘密の契約
俺と善一郎の2人に見つめられ、理子は困惑顔。…無理もない。突然自分は神宮寺財閥の会長の孫だと言われ、挙句、後を継いで欲しいと言われたら、答えに困る。一気に話しが進み過ぎて、頭がついて行かないはずだ。

「…私は、お爺様を自分のお爺様だと認められます。母の事をよく知っているし、父の事も知っている。私は確かに、貴方の孫だと思います。それは嬉しい事だけど、後を継ぐとなると話しは別です」

そう言って、理子は首を振った。

「…わかる、理子の気持ちはわかる、生まれた頃からこの事がわかっていたらもっと素直に受け入れられたはずた。あまりに突然の話しに困惑するのは当然の事だ。だがな、理子、お前は何もしなくていいんだ。…龍吾を愛しているか?」

善一郎の言葉に、理子は頷いた。

「…その気持ちを変わらず持ち続けてくれたらそれでいい。…龍吾に出会ってからずっと、私は龍吾に後を継いでもらうつもりだった。龍吾には、それだけの力量がある。血のつながりは、龍吾にはない、しかし、理子がいる。理子、龍吾のそばで、彼を見守って欲しい。愛する者が傍にいると、力が湧く。愛する者を守る為なら、いくらでも頑張れるものだ。

よく考えて、私に答えをくれ。
私の命はもう、限られている…
それまでにいい返事を待ってるよ…理子、龍吾」

そこまでいって、善一郎は突然の胸の痛みに胸を押さえ、うずくまった。

「お爺様!「会長」
俺と理子は善一郎に駆け寄った。

「…大丈夫、だ、…心配、ない」

善一郎は顔を歪めつつ、無理に笑って見せた。
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