俺様社長と秘密の契約
理子が善一郎を見ている間、俺は竹田を呼びに行った。そして、善一郎を寝室に運ぶと、俺たちは、神宮寺邸を後にした。

帰りの車の中、お互い何も喋らなかった。
理子の家の前、車を停めた。

「…理子、俺は」
「…少し、うちに上がって、コーヒーでも飲みませんか?」

「…あぁ」
理子に促され、家の中へ。

コーヒーを淹れてくれ、俺に手渡した理子。俺は静かに、コーヒーを口にした。

「…龍吾さんの言葉に、嘘はありませんでした」
「…理子」

「…お爺様の意向だったんですね。
それなのに、勝手に誤解して…ごめんなさい」
そう言って、理子は頭を下げた。

俺は理子に寄り添い、肩を抱き寄せた。

「…誤解が解けたなら、それでいい。だから、謝るな…それより、理子が神宮寺の血を引いている事をどこで聞いた?」

それがずっと、気がかりだった。
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