俺様社長と秘密の契約
4.彼女の決意、提示された条件
・・・その日以来、私は時間を作ってはお爺様の家に足を運んだ。
でも。
お爺様は、私を急かしたりしなかった。

毎日取り留めのない話をしたり、仕事の愚痴を聞いてくれたり。
日によっては具合が悪くベッドに横になっているお爺様の傍で、静かに手を握っている日もあった。


「…龍吾は元気か?最近、あまり顔を出さないな」
そう言ったお爺様は少し寂しそうな顔。
社長の事を、自分の子供のように可愛がっている事が手に取るようにわかった。


「とても元気ですよ。最近、とても忙しいんです。海外に業務拡大をしていますから」

「…そうか、龍吾はやり手だからな。…理子は、龍吾の傍にいなくていいのか?
専任秘書をしているんだろう?」

「大丈夫です。仕事はきっちにこなしていますから。
時間がある時だけ、こうやってここに来ているんです、気にしないでください」

そう言って微笑めば、お爺様も優しく微笑んだ。

「ありがとう、理子。理子は、真理に似て本当に心の優しい子だ」

「・・・そんな」

「…そうだ、理子に渡したいものがあったんだ」

「…なんですか、これは?」

枕元から、一通の封筒を私に手渡したお爺様。

「私から、理子にラブレターだ」
「フフ…そうなんですか?・・・それじゃあ、お家に帰ってから、ゆっくり読みますね」

私の言葉に、お爺様は笑って頷いた。


「…理子、」
「はい?」

「明日、…龍吾と一緒にここに来てくれないか?」
「…どうでしょう、私は来られると思いますが、龍吾さんはわかりません」

困った顔でそう言うと、お爺様は懇願するようにもう一度言った。

「・・・頼む、30分でいいから、時間を作って二人で来てくれ」
「…分かりました、何とかしてみます、来れる時間が分かったら、竹田さんに伝えますね」

私の言葉を聞いたお爺様は、安心したように目を閉じた。
ここ数日、お爺様は眠っている時間が多いと、竹田が言っていた。
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