俺様社長と秘密の契約
「なんでこんなことになる?…そうか、全部お前のせいだ!真理の子供だと?それは本当か?」

「なっ!」
神宮寺社長の言葉に、理子が反論しようとしたが、須藤がそれを止めた。

「お待ちください、神宮寺社長。そう言われるんじゃないかと思い、清水さんには悪いと思いましたが、調べさせて頂きました。…こちらがその書類です…清水理子さんは、正真正銘、神宮寺真理さんの第一子。神宮寺善一郎氏のお孫さんです」

「…チッ!」

書類を突き付けられた神宮寺社長は、したうちをすることしか出来なかった。

「…清水理子さん、どうされますか?この遺言書を受け入れますか?それとも、放棄しますか?…もし、神宮寺グループを継ぐことを放棄しても、遺産は受け取れるよう、善一郎氏が手続きしてくださってます」

「お爺様は、そこまで…」
胸が一杯だった。お爺様が、会って間もない自分の為に、色んなことをしてくれた。

「善一郎氏は、清水さん、貴女を本当に愛しておられた。ご両親を早くに亡くした貴女を不憫に思い、お父さんの遺産と言う名目で、お金を貴女に送った事もありました。こんな事でしか、助けてやれないからと、照れ臭そうに言っていたのを、昨日のように思い出します。それ程まで、孫を愛せるって素晴らしい事だと、私は心から思いました」
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