【続】冷たい彼は旦那さま


苦しそうに笑う翼は、私の髪を指に絡めて遊ぶ。


「僕は、あなたの事を逃がしてあげられないかも知れないです。どこへでも、追い掛けてしまうかも知れないです」


チュッと低いリップ音とともに、髪へとキスされる。


そのまま大切な物に触れる様に、包む様に抱き締められる。


「それなら私は…王子様に一生囚われても、構いません」


もう、練習じゃない。


そう思ったとたん、自分の中にある幼い感情が溢れ出る。

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