きみは、わたしの名前を呼んではくれない。


だがしかし! しかしだ!


わたしは彼に興味はなかったといえば嘘になるけれど、他の女の子みたいにキャーキャー騒ぐほどではなかったのです。ええ、本当に。


そこまでわたしはミーハーではなかったのだ。

大事なことなのでもう一度。


ミーハーではなかったのです。



だからわたしは、1年のときほどではないとはいえ、彼と関わることはやっぱりほとんどないだろうと思っていた。


けれど、なんたることか席が前後だし、なんか後ろからものすごい視線を感じたので、わたしは勇気を振り絞って振り向いた。



「あ、えと、これから一年よろしく……です?」


「ぶっ、なにそれウケねらってるの?」



わたしの口からそれを聞くなり、おもいっきり吹き出して、そして可愛らしく、こてん、と首をかしげる。

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