きみは、わたしの名前を呼んではくれない。
だけど、わたしが彼に告白して、一週間ほどのことだった。
「告白したくらいで彼女ヅラとかきもすぎ、つきまとうなって感じ!」
わたしは、トイレのドアを開けられずにピシリと固まっていた。
遠野くんカワイソー、という高い声がボロボロのトイレで響く。
……クラスの子たちだ。
で、これってきっとわたしのことだ。
コウくんに告白した強者なんてなかなかいないのだ。 2年生になってからは、わたしくらいだと思う。
うーん、彼女ヅラって言われてもわたしオッケーされたし、ちゃんと付き合って……。
そのとき、ふと「ありがとう」と笑ったあのときの彼の表情がフラッシュバックした。
「……あ、あれ」
あ、ありがとうとしか言われてなくないか、わたし……!!