きみは、わたしの名前を呼んではくれない。
「え、なに。 なんの話」
「だから、その……わたし勝手に告白オッケーしてもらったと思っちゃって、ひとり、舞い上がって……彼女ぶって」
なんとなく気まずくて、顔を伏せて言葉を紡ぐわたしの声は、珍しく小さく頼りないものになってしまっていた。
「え」
「ごめんなさいごめんなさい、ほんっとうにあほです馬鹿ですもう馴れ馴れしく話しかけたりなんてしませんほんとごめんなさい!!」
「いやいや、あの」
「考えてみればそうだよね、わたしみたいなやつがコウくんと付き合えるわけないよねほんとごめんね、なんなら迷惑料として……アッ、全財産104円どうしようウソまじか」
「ねえ、ちょっと」
「大丈夫、今度いっぱいもってくるから!いくら持ってきたらいいかな⁉ ほんとごめんねもうわたし穴があったら埋まりた……」
「ねえってば」
「えっ」