きみは、わたしの名前を呼んではくれない。
「二ヶ月記念日、だったり」
「ええっ、あ、そうだ! 一昨日くらいまで覚えてたのに!」
なんだかいろいろ考えすぎて、すっかり忘れていた。
それに一ヶ月記念日では、特にそんな話にもならなかったから。
「嬉しい、ありがとうコウくん!」
「いえいえ。 帰りに渡そうと思ってたんだけど、持ってくるの忘れてたのに気づいてちょっと焦って取りにかえってた」
「あはっ、なにそれコウくんらしい」
嬉しい。 心がぽかぽかする。
こんなにも恋人らしいことをしてもらったのははじめてのことで、素直に嬉しかった。
まさかコウくんが記念日を覚えててくれていたなんて思いもよらなかった。
それだけでもう十分だよ。