きみは、わたしの名前を呼んではくれない。
「そりゃあんな堂々と最前列で寝てたらいやでも皆気づいちゃうよね、普通に皆知ってるよね……」
「うわ、まじかあ」
「まじだよ。さすがに一番前の席では居眠りやめといたほうがいいよコウくん」
いくら常に定期テスト学年首位の彼だと言っても、さすがにその授業態度の悪さにはそろそろ先生たちもお怒りに違いない。
「やっぱり一番前で寝るのってまずいんだ」
「当たり前でしょうが」
「そっか、次から気をつける」
「うん、気をつける気まったくないよねその顔は」
「ばれたか」
ふは、と小さく、だけど確かに笑った彼の笑顔は破壊力抜群。
くらっと目眩がして後ろに倒れ込みそうになったけれど、そこはなんとか持ちこたえた。