できちゃった結婚です!
違うんだよ、新
こんなことが言いたいんじゃない
本当はもっと違う形で言わないといけないの分かってる。
ごめんね、こんな私が奥さんで。
ふと鏡を見る。映る自分の姿に呆れた。
髪も服装もぐちゃぐちゃで
顔なんて寝後がくっきりついてて。
そりゃあそうだよね
こんな奥さんとまとも話そうなんて
世界中のどこの旦那さんもきっと嫌なはずだ。
「杏」
新がわたしの手を取った。
変わらない、力強く、温かい。
「仕事が忙しかったのは本当だけど。それでも避けるようなこと
したら駄目だよな」
「避ける?私を?」
質問に、新は困った顔をして頷いた。
そうなんだ、困ってるんだ。
わたしの存在は...新を困らせてるんだ。
「本当はずっと触れたかった、杏に」