大切なものはつくらないって言っていたくせに

食事をしながら、うまいワインも飲み、俺たちは久しぶりにゆっくりといろんな話をした。
「雑誌の表紙連載決まったんだって？」
「うん！そうなの。」
「おめでとう。」
「でも、それがうまくいかなくてさ。。。。」
遥は、仕事の愚痴を言い始めた。
認めてくれたのはいいけど、担当の女性編集者とウマが合わず、言われのない嫌がらせをされている事。時差もあるのに、向こうの都合で振り回されたり、こっちの店の時間のやりくりとの両立に試行錯誤している事。 かと言って、簡単に日本にも戻れないし、なんとか軌道にのせて売り出したいところだが、それを逆手に取られて言いたい放題されている事。。。など。
「そっか。。。大変だな。」
うまくアドバイスなんかできないが、遥がなんとか夢を掴もうとして頑張っている事はわかる。
「でも、まあなんとか第一回の連載はうまくいったみたいなんだ。」
「良かったな。」
俺は冷えたワインを一口飲み、そして切り出した。