大切なものはつくらないって言っていたくせに
祐樹と遥の出会い
五年前、私はイタリアのローマの街はずれのレストランで修業をしていた。
もともと日本でも料理人として働いていて、勉強と称してイタリア旅行を同僚とした時に、この店と出会った。
古代ローマ時代に建てられた外装はそのままに、びっしりとツタが生えているその建物は、独特な落ち着いた雰囲気があった。
中は改装されて清潔でシンプル。 働いている従業員の動きも、文句なしの接客で、みんな誇りを持ってここで働いているのがわかる。
食事もお酒もデザートもなにもかもが美味しくて、ここで働きたい!修業させて欲しい!とその場で決めて、旅行後一か月後にはこの店に飛び込んでいった。
私がここで働いて一年が経ったころ、瀬田佑樹がふらりとこのお店にやってきた。
それが、私たちの出会いだった。
日本人かな?
ここは、ローマの中でもちょっと外れた場所にあるので、観光客はよほどの通しかわざわざやってこない。
地元の人たちが愛するこじんまりとした人気のお店。
だから、私は彼に話しかけた。
イタリア語のメニューもわかりにくそうだったから。
「日本人の方ですか? 良かったらメニューのご説明をしましょうか?」
彼は、私の顔を見上げる。
あれ?どこかで見たことがある。えっと、誰だっけ?
彼はまずい・・・・という顔をして、目をそらす。
「ここなら、あんまり日本人はいないと思ってきたんだけど。」
「え?」
「そっか。決めちゃったなあ・・・。」
とブツブツ言っている。
「あのう。日本人はこの辺りはほとんどいらっしゃらないですよ。ちょっと外れた場所ですから観光客もあまりいらっしゃいません。」
「でも、君がいるだろ?」
「私は、ここで働いてます。」
なんでそんなに日本人がいやなのかしら?ちょっとムッとしてしまう。
「・・・・・・。」
じっと私の顔を見つめる。
目の力が強くて、研ぎ澄まされたその視線にドキッとした。
この人、すごくハンサムだな。そう思った。
確かにお店に入って来た時からなにか普通の人とは違うオーラを放っていた。
私は、目をそらして
「失礼しました。余計な事を申し上げて。」
「いや、やっぱりメニューの説明をお願いします。」
彼はフッと笑う。
もともと日本でも料理人として働いていて、勉強と称してイタリア旅行を同僚とした時に、この店と出会った。
古代ローマ時代に建てられた外装はそのままに、びっしりとツタが生えているその建物は、独特な落ち着いた雰囲気があった。
中は改装されて清潔でシンプル。 働いている従業員の動きも、文句なしの接客で、みんな誇りを持ってここで働いているのがわかる。
食事もお酒もデザートもなにもかもが美味しくて、ここで働きたい!修業させて欲しい!とその場で決めて、旅行後一か月後にはこの店に飛び込んでいった。
私がここで働いて一年が経ったころ、瀬田佑樹がふらりとこのお店にやってきた。
それが、私たちの出会いだった。
日本人かな?
ここは、ローマの中でもちょっと外れた場所にあるので、観光客はよほどの通しかわざわざやってこない。
地元の人たちが愛するこじんまりとした人気のお店。
だから、私は彼に話しかけた。
イタリア語のメニューもわかりにくそうだったから。
「日本人の方ですか? 良かったらメニューのご説明をしましょうか?」
彼は、私の顔を見上げる。
あれ?どこかで見たことがある。えっと、誰だっけ?
彼はまずい・・・・という顔をして、目をそらす。
「ここなら、あんまり日本人はいないと思ってきたんだけど。」
「え?」
「そっか。決めちゃったなあ・・・。」
とブツブツ言っている。
「あのう。日本人はこの辺りはほとんどいらっしゃらないですよ。ちょっと外れた場所ですから観光客もあまりいらっしゃいません。」
「でも、君がいるだろ?」
「私は、ここで働いてます。」
なんでそんなに日本人がいやなのかしら?ちょっとムッとしてしまう。
「・・・・・・。」
じっと私の顔を見つめる。
目の力が強くて、研ぎ澄まされたその視線にドキッとした。
この人、すごくハンサムだな。そう思った。
確かにお店に入って来た時からなにか普通の人とは違うオーラを放っていた。
私は、目をそらして
「失礼しました。余計な事を申し上げて。」
「いや、やっぱりメニューの説明をお願いします。」
彼はフッと笑う。