大切なものはつくらないって言っていたくせに
瀬田祐樹は、たまに、、いや頻繁に、、絶世の美女を連れて食事に来ることがあった。
そのたびに、フェルディノンは、きーーー!!っとなっていたけれど。
しかも、一人ではない。 こっちの現地の女の子であることも、日本人の女の人であることも、そして見たことのある日本の女優さん、アナウンサーも。
なるほど、ここなら堂々とデートもできるわけであって。
それに、ここはアモーレの国。 瀬田佑樹くらいのイイ男で大スターなら、このくらい当たり前、、、と店のスタッフみんながそう思っていて、受け入れてくれる土壌がここにはあった。
私だけは、どうしても彼の女の子に対する態度は受け入れ難いものがあった。
彼は自分が、そして自分の俳優としての仕事が一番大切で、その息抜きにガールフレンドという存在が穴埋めをしてくれればそれで良いと思っていた。
「でも、わかってほしい。俺の仕事の邪魔になるなら君とは付き合えない。」
店の片隅の席で、連れて来た女の子にそう言っているのをたまたま耳にしてしまったことがある。
何度か瀬田佑樹とデートをしていたイタリア人の女の子に、恋愛相談をされてしまったこともある。
「ハルカは、ユウキの一番近いところにいる女だと思う。ズルい。」
「私は、ただのシェフで、瀬田さんはこの店の常連っていう関係だけですけど。」
「でも、ユウキはハルカに心を許してるでしょ?」
「そうかな?同じ日本人だし、ま、妹みたいに思われているかな。」
「・・・・・・なんだかそういう方が逆にウラヤマシイ気がしてきた。」
ああああ、ほんと罪な男。というか、ヒドいな。
こんな可愛い子、もっと彼女だけを愛してくれるイイ男が他にいるだろうに。そう思った。
リストランテの裏庭を挟んで、系列のバーも併設されている。
そこも、とても良い雰囲気の静かなバーで、そこだけは瀬田佑樹は1人でゆっくりお酒を飲む場所と決めているのか、女の人を連れて来ることはなかった。
私も、仕事帰りにそこで一杯だけ飲んで帰るのが好きで、たまに瀬田佑樹と出くわす事もあった。
そこでは、お酒の力もあって、客と従業員という関係ではなく、私も言いたいことを言い、瀬田佑樹も普通に他愛のない話を私にしてきた。
「女の敵ですね。」
いつだったか、私が呆れて言うと
「仕方ないじゃん。みんな俺の事好きなんだもん。」
といたずらっぽく笑う。
「フェルは?」
「あああ、ごめん。それだけは答えてあげることはできねえな。」
真剣に拒否する姿を見て、私は吹き出してしまう。
「それに、なるべく大切なものは持たないようにしてるんだ。いつでも手放せるようにしておかないと。相手もいつでも次の幸せにいけるようにしておかないと、身体が何個あっても足りないんだよ。」
その時、彼は真剣な顔でそう呟いた。
「何ソレ?バカみたい。」
彼の正当化するような言い訳にカチンときた。
ムッとする私の顔を見て、瀬田佑樹は力なく苦笑いをしてバーボンのダブルを少し口にしてため息をついた。
そのたびに、フェルディノンは、きーーー!!っとなっていたけれど。
しかも、一人ではない。 こっちの現地の女の子であることも、日本人の女の人であることも、そして見たことのある日本の女優さん、アナウンサーも。
なるほど、ここなら堂々とデートもできるわけであって。
それに、ここはアモーレの国。 瀬田佑樹くらいのイイ男で大スターなら、このくらい当たり前、、、と店のスタッフみんながそう思っていて、受け入れてくれる土壌がここにはあった。
私だけは、どうしても彼の女の子に対する態度は受け入れ難いものがあった。
彼は自分が、そして自分の俳優としての仕事が一番大切で、その息抜きにガールフレンドという存在が穴埋めをしてくれればそれで良いと思っていた。
「でも、わかってほしい。俺の仕事の邪魔になるなら君とは付き合えない。」
店の片隅の席で、連れて来た女の子にそう言っているのをたまたま耳にしてしまったことがある。
何度か瀬田佑樹とデートをしていたイタリア人の女の子に、恋愛相談をされてしまったこともある。
「ハルカは、ユウキの一番近いところにいる女だと思う。ズルい。」
「私は、ただのシェフで、瀬田さんはこの店の常連っていう関係だけですけど。」
「でも、ユウキはハルカに心を許してるでしょ?」
「そうかな?同じ日本人だし、ま、妹みたいに思われているかな。」
「・・・・・・なんだかそういう方が逆にウラヤマシイ気がしてきた。」
ああああ、ほんと罪な男。というか、ヒドいな。
こんな可愛い子、もっと彼女だけを愛してくれるイイ男が他にいるだろうに。そう思った。
リストランテの裏庭を挟んで、系列のバーも併設されている。
そこも、とても良い雰囲気の静かなバーで、そこだけは瀬田佑樹は1人でゆっくりお酒を飲む場所と決めているのか、女の人を連れて来ることはなかった。
私も、仕事帰りにそこで一杯だけ飲んで帰るのが好きで、たまに瀬田佑樹と出くわす事もあった。
そこでは、お酒の力もあって、客と従業員という関係ではなく、私も言いたいことを言い、瀬田佑樹も普通に他愛のない話を私にしてきた。
「女の敵ですね。」
いつだったか、私が呆れて言うと
「仕方ないじゃん。みんな俺の事好きなんだもん。」
といたずらっぽく笑う。
「フェルは?」
「あああ、ごめん。それだけは答えてあげることはできねえな。」
真剣に拒否する姿を見て、私は吹き出してしまう。
「それに、なるべく大切なものは持たないようにしてるんだ。いつでも手放せるようにしておかないと。相手もいつでも次の幸せにいけるようにしておかないと、身体が何個あっても足りないんだよ。」
その時、彼は真剣な顔でそう呟いた。
「何ソレ?バカみたい。」
彼の正当化するような言い訳にカチンときた。
ムッとする私の顔を見て、瀬田佑樹は力なく苦笑いをしてバーボンのダブルを少し口にしてため息をついた。