大切なものはつくらないって言っていたくせに
遥がいる時は、樹は保育園のことやいろんな事をよく喋るし、遥に甘えっぱなしだ。
風呂の着替えも何もかもやってもらい、寝かしつけも何度も本を読んでもらうのをせがみ、遥にべったりだ。
帰宅してから寝るまで、遥は俺の女だと言わんばかりに、樹は俺と遥の間に入り会話さえも阻止しようとし、独占する。
俺だって、遥に膝枕してもらってゴロニャンしたいぞコラ、てめえ。
結局、寝かしつけていると一緒に眠りこけてしまう遥とは、ロクに会話もできず1日が終わってしまう。

そう、この3ヶ月は、本当にただの同居人で、樹の世話に追われ、お互いの仕事の忙しさもあり、遥と愛を確かめ合う暇もなかった。
こうやって夫婦の間は冷めていくのかと思う。
というか、俺と遥の間でつきあうとかラブラブな時はほとんどないまま、生活に追われてしまったってことになるんだな。

でも、やはり樹に認められない限り、遥には手を出しちゃいけないような気がして俺なりに遠慮もしていた。

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