今度こそ、練愛

「仲岡さん、おはようございます。一昨日はありがとうございました」

「おはよう、有希ちゃん、無事に帰れた? 送ってあげられなくてゴメンね」

「いいえ、私の方こそすみません」



九時前に出社してきた仲岡さんにもお礼を言うと、反対に謝られてしまった。申し訳なくてまた謝ったら堂々めぐり。



「私の車より山中さんの車の方がよっぽど広いし乗り心地もいいから……と思って。快適だったでしょう?」

「はい、私まで寝てしまいそうでした」

「岩倉君は大丈夫だった? すごく爆睡してたけど」

「山中さんが送り届けてくれたので大丈夫だと思います、私の方が先に送ってもらったので申し訳なかったです」

「そうだったんだ、山中さんと岩倉君がどうなったのか気になるところだけど……まさかそんな間違いはないでしょうね」



仲岡さんの言ってる意味がわからなくて、しばらく返事が出来ず考えて込んでしまった。すると、仲岡さんが恥ずかしそうに顔を赤らめる。



「ごめん、宴会の時に有希ちゃんと山中さんが仲良く話してるのを岩倉君が怖い顔で見てたから、妬いてるのかと思ったのよ。いい年してつまらない妄想してただけ」



仲岡さんも岩倉君の視線に気づいていたらしい。


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