今度こそ、練愛

今日の差し入れは駅前の和菓子屋さんの豆大福。さすが大福が自慢なお店だ。ずっしりと重みを感じるほど餡が詰まっていて食べ応えがある。



「山中さん、来るたびに何か持ってきてくれるんですか?」

「そうよ、毎回違うものを探して来てくれるの、だいたい週一来るパターンだから今週は終わり、また来週かな」



もごもごと口いっぱいに豆大福を頬張りながら、仲岡さんが新商品のカタログを見てる。いろいろな種類の和菓子を見ていると、全部食べてみたくなってきた。



「山中さん、また来てくれますよね」

「ん? 有希ちゃんも期待してるんだ、私も今度はこれが食べてみたいの、リクエストなんて図々しくてできないから祈るつもりだけどね」



仲岡さんはカタログに載った和菓子の写真を指差した。大福の断面が黄色いから何事かと思ったら、みかん大福なんて書いてある。味が想像できないから私も興味はあるかも。



「祈ってたら届きます?」

「うん、結構届くものだよ、次に来る時には無理だけど近いうちに持ってきてくれるから、有希ちゃんも祈ってみなよ」

「はい、祈ってみます」



とりあえず私も祈ってみようと思う。
山中さんに届くかどうかわからないけれど、届けばいいと。また来てほしいだけじゃなく、他にも。


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