今度こそ、練愛

「……で、どうする?」

「ん……、どうしましょう?」



さっきから仲岡さんと唸ってみたり、問いかけてみるものの同じ台詞の繰り返し。



仲岡さんと私はカウンターで花の手入れをしながら、山中さんに出された宿題に手をつけようとして完全に行き詰まっていた。



何から手をつければいいのかわからないというのに、高杉さんは『だいたいのイメージができたら教えて』と言っただけ。そんなことを言わずに何かいいアドバイスを……、としつこく縋ったけれど知らん顔を決め込んでいる。



岩倉君は論外。
『二人の宿題なんだから二人で考えるべき、ある程度出来上がったら見せて』と冷たい態度。
お客さんに対しては満点の笑顔とサービスで接するところが腹立たしいほど。



「この店のイメージ、ねえ……?」

「目を惹くって、やっぱり原色系ですか?」

「だけど、店のイメージは原色系とは違うと思わない? どちらかと言うと淡い系だと思うのよね」

「そうですよね、同感です、白壁にオレンジ色の瓦屋根には柔らかい色が似合うような気がします」

「隣のジュエリーショップが存在感ありすぎて……」

「この店に比べたら華やかですよね……、あの華やかさに対抗するのは難しいかも」



やっぱり会話は堂々めぐり。



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