今度こそ、練愛

家に帰って待っていたけれど、川畑さんからの連絡はなかった。
他の仕事で忙しいのか、川畑さんと山中さんが同一人物だとして私に素性がバレるのが怖かったのたろうか。



ベッドの中でいろんな考えを巡らせつつ眠りに落ちて、すっきりしない目覚めのまま出勤。



「有希ちゃん、私、思いついたの」



仲岡さんの第一声は明るくて、昨日とは一変していた。もちろん声だけでなく、表情まで違っている。
きっと何か思いついたんだ。
私も負けじと答える。



「私もです」

「じゃあ、考えを擦り合わせてみよう。有希ちゃんが先に話して」

「はい、私は白いカラーを使ったシンプルなアレンジがいいなと思ったんです、隣のジュエリー店が華やかなので、白一色の方が対照的で目を惹くと思って」



私が話し始めて間もなく仲岡さんの顔が、ふわっと綻んでいく。さらに目がうるうると揺れて、言い終えたと同時に大きく頷いた。



「有希ちゃん、私たち気が合うかも。私も白い色がいいなあと思ったの。色を多く使って派手に飾るよりも色を抑えた方が上品だよね」



仲岡さんが私の両手を握り締める。
事務所から出てきた高杉さんと岩倉君が私たちを見て、きょとんとした顔をしていた。





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