今度こそ、練愛
さらに仲岡さんと二人でイメージを膨らませながら早速製作に取り掛かる。
イメージしたのはシンプルで品のある女性像。店の顔としては人によって受け取り方が違うかもしれないけれど、私たちはこれだと決めた。
メインの花には私が提案した白いカラーを使って、バスケットよりも白い陶器の方が凛とした雰囲気を出せるだろう。
最初は嫌だと思っていたのに、イメージが膨らんで作業が進むに連れて、楽しみが増していく。
「仲岡さん、すごく楽しいですね」
声が弾んでしまうけど、幸いお客さんはいないから誰にも怒られない。誰の目も気にしないで仕事できるっていいなと思えた。
「そうだよね、私もこんなに考えて誰かと共同作業したの何年ぶりだろう、学生の時以来かも」
「あれ? その前にご主人と共同作業したんじゃないんですか?」
「そうだ、忘れてた。有希ちゃんは前は設計の仕事だったんだよね? だったら一人作業?」
「そうですよ、机に座りっぱなしでモニターを睨んで黙々と……でしたから」
「ふぅん、肩こりそうだね、それに目が悪くなりそう。あまり仕事中は話したりしないんでしょう?」
「はい、話すといっても電話が多かったです。事務所の中がしーんと静まることがよくありましたよ」
よくあんな所で頑張っていられたものだと自分でも感心してしまうし、思い出すだけで息苦しさが蘇る。